カスタムレンズと一眼レフ恐怖症

 

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 修理から戻った父の遺品・Nikon FEに人生初のリバーサル、ベルビア100を入れて意気揚々と家を出たのは先週のこと。 

初めは赤レンガに行き、平成最後の夏空をバックに撮影。

カメラを構え、ファインダーを覗き込み、ジリジリと構図や露出補正を決め込んでシャッターを切る、のだが・・

ふとした時に、まぶたが接眼目当てに当たったことで、ポロっとレンズが落ちてしまった。

カメラのレンズではなく、コンタクトレンズが。

うわー、落ちた!と慌てておかだんごを呼んで、どこいったー!と地面に這いつくばり、二人掛かりで探す。

するとその直後、無事足元に落ちている所を発見。あぁよかった、と再度装着した訳だが、安心はできない。

集中すると自然と瞬きが減って目が乾き、少しの衝撃や瞬きが加わる事であっけないほど簡単にハードコンタクトは外れてしまうので、撮影に没頭することが出来なくなってしまった。

 

 そして次の日。台風が来そうなので買い物のついでに少し撮って行こうと、道中の公園に寄った。

装備は前日に引き続き、首からFEと25-50mmをぶら下げて、右肩にPENTAX MX-1。

てくてく歩き、キラキラ光るポールのオブジェに近寄って、カメラを構えファインダーを覗き込んだ次の瞬間。

あーーーーーっ!!

・・という叫び声も虚しく、またもやコンタクトがポロリ。

しかも普段なら足元に落ちるところが、運悪く強風に飛ばされてしまったようで、まるでどこに行ったか分からない。おかだんごを呼び、這いつくばって探すも全く見当たらず、たまに落ちているガラス片の煌めきを見てはぬか喜び・・が関の山だった。

結局コンタクトは見つからず、頼みの綱の眼科も休診日というおまけ付きで、沈みきった心で買い物を済ませ帰宅。*1

 

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環状のゴムでできた「接眼目当て」の出っ張り。瞼の接触事故が絶えないが、目を近づけないとシャッター速度計等がよく見えない。

 

 ここでちょっと解説だが、私が使っているコンタクトレンズ、実はカスタム品だったりする。

私の目は「円錐角膜」という病気で、普通なら黒目の表面がレンズ然とした綺麗なドーム状に保たれるところが、マッターホルンのように尖って次第に盛り上がることで、徐々に視力が失われる欠陥を抱えている。*2

そこでこの角膜の盛り上がりを抑え込むために、視力の矯正も兼ねて毎日ハードコンタクトで「ふた」をする必要があるのだが、この角膜の盛り上がり方が人によって千差万別で、普通のハードコンタクトでは当然うまくフィットせず、短時間の装着でも違和感や痛みが出てしまい、着けていられないような状態になる。

 そこで各人の症状に合わせてレンズのカーブや涙の流入による動き幅を調整・最適化した「カスタムコンタクト」が必要になってくる訳で、その存在、機能は大変ありがたい物なのだが、レンズカーブが普通のコンタクトレンズより緩いためにポロっといきやすい、という困った一面がある。

今回はその悪い面致し方のない側面にたまたま不運が重なってしまった、という事だ。

 

円錐角膜とは

  • 角膜の中央部の厚みが薄くなり、角膜が前方へ円錐状に突出する病気である。 角膜の歪みによる乱視が生じ、視力が低下する。若年層の発症が多く、10代〜20代が最も重くなり、その後は徐々に進行がおさまっていくケースがほとんど。明確な原因は今のところ不明.. 続きを読む
 

 

 そこで先日、新しいレンズを頼むために眼科へ行ってきた。

難しい患者にもかかわらず、こういう時に近くで診て貰えるのは、本当に有難い。

元々は「その世界の権威」といわれる先生がされている名古屋の眼科までわざわざ通っていたが、実家に戻ってからというもの、いのだんご実家→車で約5時間→おかだんごの実家(宿泊)→電車で約1時間→眼科、という通院プロセスが結構な負担になり、「実家のあたりでカスタムに対応できる病院はないですか?」と3年ほど前に地元の眼科を紹介して貰っていたのだ。

未だに名古屋まで根性で通い続けていなくて、本当に良かった。

 

 それからはずっとその地元の眼科に通っているのだが、そこの先生がまた素敵なのだ。

60代後半の女の先生で、長いシルバーヘアを後ろで束ね、まるで宝塚のトップスタァのような凛々しい声に聡明な話し方。恐らく女学校時代(妄想)はファンクラブが結成され、積まれた恋文数知れずであった事だろう。*3

先生にまつわる詳しい話はまたの機会に譲るとして、この日は一通りの検査を済ませ、カスタムの内容(結局前と同じ仕様になった)を決めてもらい、新しいレンズが届くまでの間、しばらくは片目での生活を送る事になった。

 しかし、片目しか見えないのはかなり厄介だ。私は裸眼視力が0.02くらいなので、顔先15センチくらいにしかピントが合わない。距離感が掴みづらいわ画面も見づらいわ、何をするにも不自由で仕方がないが、ないものは仕様がない。

唯一、絵を描くには丁度良いボケ味で右脳とのリンク感を感じることができたので、そこは新しい発見(要検証)として今後のレンズチョイスに生かしたいと思う。

 

そして昨日、新しいレンズが届いたということで再び眼科へ行き、試着・検査を経てようやく受け取ることが出来た。

値段については先生が「私は好きでやっているので、儲からなくてもいいんです。赤字だと困りますけど、実際は赤字でもやってますけど、若い頃に稼いだので100万や200万位ならいいんです。1000万や2000万になると困りますけどね。」なんて言いながら日本一安いんじゃないかという価格まで独りでに負けてくれたので、とても感謝している。*4

ただ話好きに火がついて、待合室の人そっちのけで30分以上、人工水晶体や角膜移植、iPS細胞にはじまり人類の月旅行の話までマシンガントークが繰り広げられた*5のには、流石にちょっと疲れたけど(笑

 

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カスタムてんこ盛りの図。左下の「加工 MZ」ってなんだ?カッコいいぞ!と思うなかれ。単に「ミゾ」の略だと教えてもらった。

 

・・ということで、FEでの初撮りが散々な結果に終わった(フィルムはまだ20枚くらい残ってる)ことで、次の撮影でもまたコンタクトが飛んでいきやしないかとビクビクしている訳ですが、さて・・どうしよう。。

とりあえず接眼目当てを外して使うか、格好良さ度外視でコンタクト受け皿を自作して付ける(ほぼ効果なさげ)か。

やっぱりフィルム一眼は怖いしコンデジ最高よねぇ〜、という思考に至るところが「分相応」というやつなのかもしれないな・・と思ういのだんごでありました。

嗚呼、頑張って撮りきらねば。。

 

 

*1:作ってから5年以上経過しているので、メーカー耐用年数を考えれば一応の踏ん切りはつくが、先月眼科で「綺麗なのでまだまだ使える」と言われていた所なので、行けるところまで行きたかった・・。

*2:20代半ばまで眼鏡だったので、以前行っていた眼科や母親からは何で視力が出ないんだ?見ようとする気力が足りん、脳にやる気がない、などと滅茶苦茶言われていた。このヤブ医者が!毒親が!お前らのせいで早期治療できなかったんだぞ!!

*3:女子に対する医大の入試不正が問題となっているが、この世代で女医さんというのは首席レベルで頭が良くなければ不可能なのではないだろうか。実際、初診の際は「なんでこんな田舎にこれほどデキる雰囲気の人が居るんだ??」と頭を傾げたくなるほど不思議だったので、恐らくそういう事なのだと思う。

*4:この間、私は一言も発していない。もちろん負けて欲しいなんて言っていないし、唯の一言「はい」と相槌を打つ隙すらも与えられることはなかったからだ。先生の話はすさまじく途切れないのである。

*5:いつもこんな感じだが、次の人の診察が2分で終わったのには流石に笑った。一通り喋り切ったという事なのか、次の次で待っていた方への一応の配慮なのか。真相は定かではない。