21年の時を超えて

 

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前回の記事で紹介した父の遺品 Nikon FA 。

今回は、そのFAに入りっぱなしになっていたフィルムが現像から上がってきた(この表現は正しいのか?)よ!というお話。

  

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思い出を、カタチに。FUJIFILM

なんだか期待を持たせてくれますが、既に写真屋さんから「現像のみ・プリント不可で戻ってきた」と言われ、「元々現像のみでオーダーした筈だけど?」なんて思いつつ、店内でルーペで見せてもらっていたので大体何が写っているかは分かっている。

でも「誰が写っているか」という詳細の確認までは出来なかったので、100%の確証はない。

 

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何だこりゃ?カビがシミになってるのかなぁ?なんて思いつつ眺める。

こうしてネガフィルムを眺めるのは20年振り位だが、何となく、モノクロ並みに色が死んでいるよーな気がする。

では、何はともあれスキャナーにかけてみよう。

 

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フィルムスキャナー機能があって本当に良かった、の図。

これを写し取るは伝家の宝刀、キャリブレーション済みEPSON GT-X820。買った時は絶対使わんだろうと思っていた機能が今、はじめて日の目を見る。こんな事もあろうかとアダプターを大事に取っておいて良かった。

初めて使うだけあって装着の仕方もまるで分からないので、説明書を読みながら、辿々しくも一歩ずつ前に進む。

小さいフィルム面を緻密にスキャンすると僅かなホコリも大きく取り込まれてしまうので、素早く確実に作業を進め、それでも付いてしまうホコリは念入りにブロアーを噴いて吹き飛ばす。

それでは、いざスキャン!! 

 

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・・きた!!

わーお、薄っすぅ〜!!

古いと色が抜けるだじゃなくて、暗部も抜けちゃうんですね。 

でも何となく写っているものは分かる。

やっぱりこれは、約20年前に訪れた白川郷じゃないか?

よし、ここから先はデジタルパワーで何とかしてみよう。

 

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じゃん!(あんまり変わってない)

単純にコントラストと彩度を上げると青写真になってしまうので、色温度を下げつつ嫌味が出ないようソフトに仕上げてみた。

腕のある人なら更に上げていっても破綻しないのかもしれないが、私はフォトショ嫌い素人なのでこのあたりが限界。

それでも、写っているものはかなり判別しやすくなった。

よく見ると母らしき人が居るので、どうやらこのフィルムは21年前の白川郷で間違いなさそうだ。

こんな淡いトーンの写真が、全部で10枚。

たった10枚ぽっちではあるけれど、思い返せばこれが親子3人で行った最後の旅行だったんだなぁ、と感慨深い。

その思い出のフィルムが何故現像に出されなかったのか。

きっと気合を入れて36枚撮りを入れたのに、結果10枚しか撮らなかった事で「勿体ないからまだ現像に出さないでおくか」と一旦カメラを置いたのだろう。そして遂に使われることはなかった・・・というのが実際の所ではないかと思われる。

 

しかし、それが今になって「形」になる、というのも感慨深いものだなぁ、と思う。

もしこれがデジタルだったら、間違いなくメモリの電荷が抜けてデータが揮発し、まったくの「ゼロ」になっていたはずだ。

そう考えると昨今、其処此処で聞かれるフィルム生産中止の話題が急に残念に思えてならない。(実にミーハーである)

アナログ時代の技術の粋ともいうべきものが次々に姿を消していくさまは、ロストテクノロジーという言葉と、進歩と思われているものが必ずしも全面的に進歩しているとは限らない、ということに改めて目を向けさせてくれる。

イージス艦は簡単に建造できても戦艦大和をふたたび建造する術はない。それが現代なのだ。

 

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話が逸れたので戻そう。

前回の記事で「このカメラ達どうすりゃええの?」と悩んでいたところ、後日、アレモコレモさん(id:aremo-koremo)から救いの手が差し伸べられた。

それはもう、猛烈に、猛烈に有り難かった。

先のロストテクノロジーの話に繋がるかは分からないが、デジカメ専門で来た私にとって銀塩カメラは完全に未知の沼。

直すにしても、どうしていいか分からない。

空シャッターすら満足に切ることができないど素人にとって「星の数ほどある(ように見える)修理業者の中から、今回のケースに最も適した預け先を選ぶ」というハードルの高さたるや尋常ではなかった。

しかしそこは先人の知恵、持つべきものは師匠(勝手に師と崇める)・・というもので、「このレンズはまだ使える」とか「修理先はこちら」といった具合にポンポンと的確に教えて頂き、またそれを鵜呑み信じてホイホイと修理屋さんに電話を掛けることで実にスムーズに次の段階へと進んでいった。

ただ一つ、FAに関しては雲行きが怪しく、最初に聞いたお店では部品が無い事により修理不可、次に聞いたお店は電話では「大丈夫ですよ」との事だったが、送付して分解・検証の結果、シャッター優先時に高輝度でのシャッター動作不安定・絞り連動環バネの破損・補修部品払底による修理不可、ということで返送の運びとなってしまった。

今はと言えば更に次の修理屋さんに当たってはいるものの・・・この流れではあまり期待しないほうが良いのかもしれない。

FEより新しく、より電子化されているFAのほうが修理不能という事から、フィルムカメラでも電化度合いが高いものから順に「修理不可」となる確率が高いのかなー、という事がなんとなく分かった今日のいのだんごでありました。

最悪、せめてFEだけでも・・無事に復活してくれると良いんだけどね。