【長編】SIGMA DP シリーズ10周年に思うこと

 

 

プロローグ

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SIGMA DP。はじめてこのカメラの存在を知ったのは2008年、初代DP1発売前のことだった。

私は当時GX100*1を使っており、仕事柄、最低限カメラについて勉強していた事もあって、何だか凄いのが出るぞ、と発売を心待ちにしていた。

 

すべての伝説はここから始まった。

史上初めてコンパクトカメラのボディにAPS-Cサイズ相当の大型センサーを搭載、まるで軽自動車にF1のエンジンを載せたかのような、他を圧倒的するコンセプトで登場した初代DP1

しかもセンサーは垂直3層のFoveon、まさにオンリーワンの称号を欲しいままにする超弩級の変態カメラだった。勿論価格はコンパクトの枠(当時)に収まらず、堂々の10万円超えを果たすことになる。

 

そして発売から暫く経った頃。

DPの撮影画像を探すため、中国の写真掲示板に潜っていた時に事件は起こった。

「なんだこれは!?まるで目の前に現実の世界があるみたいだ!!」

そこにあった一枚の写真。暮れゆく新宿東口前の、何気ない光景を写し出した一枚に私は釘付けになった

PC画面に等倍で表示された画像の圧倒的な臨場感。デジタルカメラ特有のモジャモジャが一切ない、どこまでも鮮明な撮像。

ビルも、人も、街の、あらゆるもの全てが、私の知っている新宿*2そのものだった。

まるで、空気の生暖かい匂いまでが、写真から立ち上ってくるかのような臨場感。

もはやこれは写真、いやカメラではない。「空間切り取り機」なのだ、と衝撃は留まることを知らなかった。

これが生まれて初めて、写真を見て感動した瞬間だった。

 

凄い。凄すぎる。これは絶対に欲しい。・・でも高い。

そもそも低賃金ブラック真っ只中の私などに、10万円のカメラを買える余裕など全くなかったのだ。

こうして夢は夢のまま、月日は流れた。

 

 

 

 

 

「一生の思い出」だからこそ、DPを。

 

2011年末。ひょんな出会いで、おかだんごと結婚することになる。 

翌年には新婚旅行の話が持ち上がり、旅のプランを二人であれこれ考え始めるのだが、ここでふとカメラのことを思い出した。

「一生に一度のイベントだから、最高の写真を残したい。」

そうだ、今だ。今しかない。遂にあのDPが必要な時が来たんだ。 

すぐさまネットを調べると、あの衝撃のDP1から4年近くの間に数々の後継機が発売され、DP2xが出るまでに進化を重ねていたこと、価格も大幅に値下がりし、新品が3万円台で手に入るといった驚愕の事実が次々と明らかになった。

 

同時に一眼レフのSDシリーズもチェックはしてみたが、レンズ交換式のために画質が下がること、DPに比べてコストパフォーマンスで劣ること、何より私がコンパクト至上主義者であったことから、購入候補からは外れることになった。

そして地道な比較検討の末、ついにオークションで個人蔵・新品同様の初代DP2を約2万5000円で購入する。*3

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届いたものは本当に綺麗で、使った形跡が殆どない素晴らしいコンディションだった。*4

そして意気揚々と試し撮りをし、「これがあのDP?」と思うほどの酷い発色に、ひどく困惑することになる。

当時はまだフルオートで撮っていた筈なので、当然と言えば当然なのだが・・。

 

その他、噂に聞いていたAFは若干暗所に弱い以外は普通に動いてくれたし、不名誉極まりない背面液晶の画質も、構図さえ確認できれば良いので問題無かった。*5

唯一バッテリー保ちだけは心許なかったので、それだけは買い足したけど。

 

こんな状態でも圧倒的な写りの片鱗はいくらか垣間見れたし、RAWさえきちんと撮れていれば現像は後でなんとでも出来る、ということを先のGX100で学んではいたので、カメラを信じてそのまま旅行へ突貫することにした。

当時DPは「当たると凄いが凡打の山」「大事な場面で使ってはいけない」「思い出が台無しに」ともっぱらの評判だった。

しかし私は、デジカメは露出を勝手にやってくれるのでピントとSSさえ確保できれば大外れする訳はなく、あとはシャッターを押すタイミングと現像の腕次第。夕方以降はすべて自分に縁のない被写体と考えよ、という精神だったので、その点については全く心配をしていなかった。

 

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写真:高千穂峡のニャン  (533×800pix)

結局、旅を終えてみれば「電池は何個でも欲しい」という以外に問題という問題はなかったし、木々の繊細な枝ぶりから髪の毛の1本1本、肌のキメの細部に至るまで、それはもう必要以上とも言える克明さで記録することができた。

 

今となってはこの選択が大正解だったと胸を張って言えるし、むしろ人生の大事なシーンであればあるほど「DPで撮れ!」と自信を持ってお奨めできる。DPという名のタイムマシンで撮ったRAWデータがある限り、あの時のあの人に、あの場所に、いつでも再会できるのだから。

 

・・と良さげな事を書いてみたが、例えば「今でも時折思い出して舌なめずりをするご馳走」の写真なんかはブレて綺麗に残っていなかったりする。迂闊な事をすると、すぐに結果として跳ね返ってくるのがDPというカメラだ。

 

しかし、それはDPが暗所に弱い事を知っていながら「手持ち根性主義」に拘って、三脚を持っているにも拘らず手持ち撮影を強行した私が悪いのであって、カメラが悪いわけではない。

そしてそれもまた、今となっては良い思い出だ。

 

・・まぁ、流石に10年前のカメラなので、もし今から新婚旅行に行くとしたらメインは別のカメラにすると思うけどね。

 

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写真:マツダミュージアムで展示中の787B*6  (800×533pix)

 しかし、やっぱり一眼は重くかさばる。旅先であれば、その存在は尚更重くのしかかってくる事だろう。

DP2はただ凄い写真が撮れるというだけでなく、小さく、そして抜群に軽い。

調べてみたら、なんとCanonの1型コンパクトG7Xより軽かった。道理でスカスカの箱みたいに感じるわけだ。

旅先での扱い易さは言うまでもなく、普段も自然とカメラを持ち出す機会が増え、幾度も貴重なシャッターチャンスに立ち会うことができた。この「唯一無二の画質」という要素に「軽さ」「取り回し易さ」という要素が掛け合わさる凄さは爆発的で、恐らく自分が自覚している以上のメリットを齎してくれているのだと思う。

 

当時はDPほど高画質でコンパクトなカメラは他になかったし、今なお魅力的なカメラとして中古市場で一定の人気を獲得し続けている。

今後第一線を譲る機会は増えるだろうが、きっと次の10年も戦い抜いてくれることだろう。

もはや怖いものは「故障」と「バッテリーの劣化」の2つだけかもしれない。

 

こうして考えると、このカメラに出会えて本当に良かったと思う。

当時シグマでこのカメラを作り、世に出してくれたくれた多くの方々。素晴らしい製品をありがとうございました。

 

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 で、その後も初代DP2への熱は止まることを知らず、なんだかんだでご覧の通り。

カメラが3台に、外付ファインダーと純正マクロレンズが2つ。フードは3、4個あったかな。

そのうち1台をおかだんごに与えて一通り現像方法を教えると、それなりに立派なDPバカへと育っていった。

おかだんごのDP2はクマのシールが貼ってあるので一目でわかる。なんでもシ「グマ」だからクマなんだそうな。

 

以前、このDP2を外装交換に出したことがあるのだが、新しいボディになって帰ってきたときに寸分違わず元のシールが貼り直されていて、その時はシグマの修理担当者さんの丁寧な仕事ぶりに感激した覚えがある。きっといい社風なんだろう。

 

そして一番のレアアイテムである、DP2店舗展示用スタンド。だいぶ前にオークションで見かけて500円で落札したのだが、このスタンドにDP2を乗せて飾っているファンは世界広しと言えど、私くらいではないだろうか。えへへ。

 

逆に惜しいのはカタログ。私がDPを買った頃は既に2x世代だったので、これしか持っていない。

無印2の物があれば完璧なんだけどね・・。

流石に「買う」のは悔しいので、どなたか余ってたら頂けませんでしょうか (´・ω・`)

 

 

 

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付録 其の壱:10周年記念!次世代DPを考えようの巻

今年でDPシリーズ10周年を迎えるにあたりQuattroの次世代機に期待が高まるが、一体どうなってしまうのだろうか。

残念ながら現在のQuattroシリーズに過去の機種ほどの力強さはなく、既にdp2Qの発売から4年以上の歳月が流れ、SIGMA自身もFoveonセンサーの方向性に悩むところが多々あるのではないかと考えてしまう状況だ。*7

そこで勝手に「新しいDPの仕様を勝手に考えよう」のコーナーをやってみようと思う。

では、いってみよう。

 

仮称:SIGMA DP F

・Foveon X3F 16MP×3層(計48MP)フルサイズセンサー

・ISO50-400(上限)

・AFE非搭載(これ重要)

・極力明るいレンズ(DP2=40〜50mmF1.9) 

 

出るのか?出るのか!?と噂されるフルサイズSDに先行し、センサーの世代交代を兼ねてフルサイズFoveonをDPで採用しよう、という案だ。むしろ、これ位やんなきゃ今時「DPスゲー!!」とはならない。ソニーのRX-1と同じ土俵に立ち、低感度で圧倒する。やっぱりDPは感動のある凄いカメラじゃなきゃダメなんだ。

悩みどころはセンサーの画素数だが、APS-C16MP×3層のMerrillは画素密度が高くシャドウに弱い上にノイズも乗りやすかったので、画素面積を増やす方針を最優先にしたいと思う。おそらく、最高でも24MP×3層あたりが微細化の限度なのではないだろうか。それに手ブレ耐性やデータの軽さ、レンズ設計の余裕も考えると、16MP×3層あたりが良いのでは?という見立てだ。なんなら12MPでも良いぞ。構造は正統派のX3、Merrillと同じ無補完3層仕様とする。Quattro?そんなものは知らん。

あとは基準感度を堂々のISO50に設定、最大でも400あれば十分だろう。ISO200に戸惑い、断腸の思いで400に設定する。それがFoveonである。結局どう頑張っても高感度はベイヤーに敵わないので、頭おかしいくらい長所を突き詰めた方がFoveonカメラの存続には良いと思うんだ。DPやSDを続ける上で一番大事なのは図太さだと思う。

その流れでAFEも省いて、ほんとうに低感度のみで勝負するカメラにする。甘ったれユーザーの「高感度ガー!!」なんていう泣き言は一切聞かなくて良いし、そういう人は他社のカメラをどうぞ。レンズはウチにいいのがあるから買ってね、でいいと思う。それができる会社は世界にシグマしか存在しないのだから、それでいい。

その代わりレンズを極力明るくして、暗所でもSSを稼げるようにする。F1台を名乗る意味は大きいので、ギリギリF1.9くらいでどうにか出来ないだろうか。50mmより40mm寄りの方が小さくできるだろうから、この際細かい画角は問わない。

フルサイズだとテレセン性が問題になる、という話も聞くが、専用レンズを用意できるDPならSDより問題に対処しやすく、より大型センサーに向いている。そもそも初代もMerrillも周辺の緑被りだなんだと散々言われつつ未だ素晴らしいカメラであり続けている訳で、写真の本質を考えればそんな些細な事はどうだって良いのだ。

だから小型化最優先で各種収差は盛大にやって頂いて構わない。FA43mm Limited並みの大きさで作れたら最高だと思う。

これ、スペックに厳しいファン以上にレンズ屋のシグマさんが一番嫌がりそうな話。

 

で、レンズでの対応に限界があるならソフト側で頑張る。言うは易しだが、それが現代というものだ。

フルサイズDPは出せるけどSDは難しい、ということなら正直にそう言えばいいし、SDの存在を気にしてDPの可能性を閉じるというのは頂けない。この10年間、レンズ一体型のメリットを説いてきたシグマならきっと出来る。

Quattroで巨大化したボディは先祖返りじゃないが、最大限コンパクトに纏める。要は初代DP2/2sのフルサイズ版という訳だ。Quattroの型じゃないとヤダ、という層にはオプションでQuattro風の出で立ちになるバッテリーグリップを付けるとか、そういうのをやったら面白いかもしれない。

あ、この際バッファメモリも限界までケチればいい。どうせRAW現像する事になるんだからJPEG同時記録も不要。その代わり10万で売ったらいい。フルサイズFoveonに単焦点が付いて10万。安いでしょ?安すぎか?

 

もうひとつ欲しいのは、初代DPを現代の技術でよりスリムにリファインしたモデル。

GR III並みとは言わないまでも、GR IIくらいのポケットサイズなFoveonがあれば、どんなに面白いだろう。

そこに技術の進歩による高速起動、高速AFが加われば、デジタル版「写ルンです」のような、通好みのカメラの出来上がり!

 

・・ということで正直、初代好きの私が欲しいと思うFoveonはこれ位しかない。

余計なものが一切付いていない、低感度一発勝負のシンプルなカメラ。

そんな詰め込み感の一切ない初代DPの拡大版、リバイバル版こそ私が一番欲しいと思うDPだ。

高画素・高解像最優先のユーザーとは別の流れで、こんな感じのDPが欲しい人もそれなりに居ると思うんだけどね。

 

でも、ここまでやっても相変わらず色再現力(一般的に言われる色の復元力、色分離の悪さ)問題は根深く残るだろうし、その改善がない以上、やはり購入候補として考えるのは難しいと思う。

引き続き厳しい挑戦になるとは思うが、シグマさんにはQuattro方式という逃げではなく、真っ向勝負で胸のすくようなブレイクスルーを期待したい。だって、またワクワクするFoveonを、DPを買いたいんだッ!!*8

  

 

 

 

 

付録 其の弐:SIGMA DP MANIACS

最後にDPシリーズ10周年を記念して、今までに私が知り得た各機種に関する情報をここに纏めたいと思う。

実際に所有しているのは初代DP2×3台のみなので、基本的には実機を試用したり、各機種のRAWデータ現像を経験した上で気づいた点を正確性に配慮しつつ、独断と偏見で記載したものになる。

ネット上で見かける製品レビューやユーザーボイスと重なる部分も多々あると思うが、ひょっとすると今回の記事で初めて指摘される情報も含まれているかもしれない。

また愛ゆえに厳しい書き方になっている部分もあると思うので、その点についても予めご容赦頂ければと思う。

特に各機種ごとの画質にまつわる評価は、レンジが広く癖がないデータほど撮影後の編集・加工耐性が高く、マスターとして優秀だという価値観に基づいて「どれだけ被写体の色や陰影を忠実に写し出せているか」という点を重視しているので、中には良くない評価をしている機種もある。

DPシリーズが気になるが、どれを買おうか迷っている・・という初心者の方は、以上の点を踏まえてお読み頂ければ幸いだ。 

 

 

 

DP1

ほぼAPS-Cサイズの垂直3層Foveonセンサーをコンパクトカメラに世界で初めて搭載。

シグマ自身が中判画質を謳って宣伝していたように、「条件が揃えば」という注釈付きではあるが、発売当時の全てのカメラが過去のものになるほどの圧倒的な画質を誇った。

レンズはマゼンタに輝く美しいコーティングを持つが、撮影条件により通称「サッポロポテト」と呼ばれる、昔のソニーロゴのような赤いレンズゴーストが顕著に現れる。

画像エンジンには新開発のTrueを搭載。おおむねSD14と同様の発色傾向を示すが、若干黄色が大人しくなり赤がマゼンタ寄りとなる。恐らく黄色の発色が強めに出ることによって赤が朱に傾く現象を補正したものと思われるが、結果は過補正である。その他の点についてはよりニュートラルに進化しており、画像処理の最適化が進んでいることを示した。

 

 

DP1s

レンズコーティングがDP1の美しいマゼンタから普通の黄緑系に変更され、サッポロポテト現象が改善される。

しかし、その代償として写真は若干の緑被り傾向となる。

Trueエンジンのチューニングは更に進み、赤がマゼンタ寄りにシフトする現象が改善され、発色は非常にニュートラル。WBの安定性も向上し、最後の初代True機に相応しく画質面での完成度は高い。

AF速度等はDP1と同等のため、DP1のネガを潰し完成度を高めることを主眼に開発・投入されたモデルと言える。

 

 

DP2

広角単焦点DP1に対し、標準単焦点レンズを搭載したDP2が新しくラインナップに加わる。

画像エンジンは新世代のTrue2になり、色再現が一段と向上。生々しくも透明感のある、鮮やかな発色に磨きが掛かった。

レンズには青緑/緑系のコーティングが採用され、写真は緑かぶり気味となるが、Foveon機としては最も癖の少ない発色のため、RAWデータ製造機としては2sと並んで2020年現在もシリーズ中最高と言える、完成度の高いカメラとなっている。

DP1の頃から遅い、遅いと話題に事欠かなかったAFもアップデートで改善され、最終的にはDP2sと同速にまで向上した。

背面ボタンはDP1系とレイアウトが異なり、新しくQSボタンを追加するなど操作系の改良が施されている。

その他、初期ロットのみバッテリーを固定する爪が白色で、以降は黒色という違いがある。

 

DP2s

DP2のマイナーチェンジモデルとなるDP2sでは、初代DP2で緑被り気味だったレンズに変更が加えられ、コーティングが前玉、中玉共に変更(紫/緑系)された。

結果は過補正であり、写真は若干赤かぶり気味。しかも、相対的にレンズ周辺部の緑被りが目立つようになってしまった。

これらの理由から、光学系は必ずしも改良されたとは言い難い。

正確にはコーティングは初代DP2末期の時点で既に改良されており、最終ロットと思われる個体でそれを確認することができる(当該個体を所有し確認。2s仕様のレンズを僅かに前倒し生産したのだろうか?)が、これは非常に少数である為、基本的にはDP2s固有の仕様と言って良いと思う。
またDP2に比べAFが速くなり、センサーの待機電力カット機能が追加され、課題だったバッテリー持ちがやや改善された。

しかし前述の通りDP2のAF速度がDP2sと同等になった為、DP2s固有のアドバンテージは「省電力機能」の1点のみとなっている。

続く改良型であるDP1/2xシリーズではAFE(後述)の影響により発色傾向が大幅に変化することから、DP2sは初代シリーズ中最も完成度の高い「Foveonらしい画が撮れるカメラ」となった。

ちなみに外観にも小変更があり、背面ボタンの印字に赤色が取り入れられている。

 

 

DP1x / DP2x

更なる改良によりコーティングが変更(黄緑/紫色)され、初代シリーズ中最も色被りの少ないホワイトバランスを手に入れた。

現在、初代DPシリーズの修理対応は終了しているが、受付期間中にレンズを交換修理に出した場合、DP1x/2x以前の機種であっても全てこの仕様のレンズへと交換されていたため、これを利用して「最高の旧型DP1DP2」を手にいれる事が出来た。

これは現在でも、中古DP1/DP2のレンズ修理(交換)歴を判別する際のポイントになっている。
ボディにはSD15に採用されたAFE(アナログ・フロント・エンド)が搭載され、高感度特性の改善を狙ったが、AFE由来の黄色かぶりと特有のノイズが発生し、感度にして僅か半段分にも満たないほどの改善に留まった(もしくは改善しているように見えた)。

更にDP2/2sで優秀だった色再現の正確さまでもが失われ、その影響は伝家の宝刀であるiso100の画質にまで及んでいる。彩度の高い被写体でも燻製されたような独特の色合いで写るため、生々しさや透明感に定評があったDP2/2sの描写性はここで途絶える事となった。

しかし、見方を変えれば一定のトーンで画面全体が統一されることから、画のまとまり感はシリーズ中随一とも言える。AFも更に速くなり、特大ホームランよりもヒットを重ね打ちできるカメラへと変貌を遂げた。

DP1系では初となるDP2系の背面ボタンレイアウトを採用しており、トータルでの扱いやすさもシリーズ中屈指の実力を持つ。特に拘りはないけど試しにFoveonを使ってみたい、という方には全DPシリーズ中、今なお一番のお勧め機種であり続けている。

 

 

初代DP1/2シリーズ用外付ファインダー

カメラではないが、こちらも初代DPシリーズ各世代のレンズ生産時期に応じてコーティングが異なる。

色はおよそレンズ前玉と同様で、DP1DP2生産分までが青緑、DP2s生産分以降が淡い赤である。1/2x世代の製造分については未確認(比較的高額で数が出難い商品のため、2s世代分を最後に生産されていない可能性もあり)。

 

 

 

DP1/2/3 Merrill

Merrill世代ではセンサーサイズが長辺23.5mmと僅かに大きくなり、APS-Cの規格を満たすものとなった。

素数も初代シリーズが採用するFoveonX3の468万画素×3層から一気に増え、1536万画素×3層の構成となる。

新たに中望遠モデルとなるDP3も追加され、兄弟揃って圧倒的な解像番長としてカメラ界にその名を轟かすこととなる。

ボディ、レンズも一新し、初代DPシリーズで不満が噴出した背面液晶の画質は「普通のもの」に変更され、RAWとJPEGの同時記録にも対応するなど、デジタルカメラとしての進化にも遅まきながら対応を見せた。

しかし、画素当たりの受光面積が狭くなったことで、初代では良好だったシャドウ部の階調性や色再現性が悪化。特にR層への透過率低下による赤の再現力の低下は中間階調でも発生するため、現像時はその特性に頭を悩ませる機会が増えるだろう。

更にAFEの影響による色再現の低下も引き続き健在で、総合的には当たれば驚異的な画質を得られる可能性はあるものの「事実上当たらない」レベルにまでに変態度がこじれてしまった。

ただしこれは「自然な色再現に拘って」評価した場合の話で、写真としての不自然さが際立っているという意味ではない。

癖があることに変わりはないし、そのぶん初代シリーズよりも人を選ぶ面はあるが、場合によってはそのコントラスト感や独特の発色からくる重厚な描写が撮り手の意図と合致することで、非常に存在感のある作品を生み出すことが出来るだろう。

カラー以外では3層センサーの特性を生かした「ホンモノ」のモノクロモードが実装され、ライカモノクロームと双璧といえる、高いレベルのモノクロ撮影が可能となった。

ちなみに当世代より内蔵フラッシュが廃止されたため、必要な場合は外付けのものを携行する必要がある。

 

 

 

dp0/1/2/3 Quattro

ブランドデザインを一新し、大文字のDPから小文字のdpへと変更が行われた。

またこの世代で初めて、超広角レンズを搭載し「収差ゼロ」を謳って登場したdp0がシリーズに追加された。

Quattro世代ではセンサーの構造が大きく変わり、若干の高感度性能の向上と引き換えに画素補完による解像力の低下、桁違いに悪化した色分離、不正確かつ過剰な復元による塗り絵にも似た強い発色を手に入れるに至った。

当初は黄色〜黄緑の発色が過大で写真のバランスを大きく崩していたが、現在はアップデートにより7割方改善している。

しかし基本的には中間調からハイライト側にかけてのトーンが浮き気味で、コントラストが付きづらくシャドウ部との階調が乖離しやすい描写傾向にある。色も明度が上ずり気味で、全体としてMerrill世代より不自然な絵になりやすいものの、色再現を除いて若干フィルムに近い雰囲気を示すようになった点は面白い。

特に隣接するピクセルの色相が異なり、かつセンサーへの入光明度が同等となる条件で解像力(色の分離・再現力)が著しく損なわれる現象、通称「ビアガーデン現象」が発覚して以降は多大な悪評を被ることとなるが、現在では必死のアップデートによりほぼ問題ないレベルにまで改善された・・かのように見えたが、逆に従来問題のなかった部分にその皺寄せが現れるようになったため、正確には「誤魔化した」という表現が正しいと思われる。

この問題はセンサーの構造上常に起こり得る問題であることから、根本的な解決策は以後の世代に譲ることとなる。基本的な画質については高感度の改善を含め「ベイヤー機との間の子に近い印象だが色の分離・再現が劣悪」との認識で間違い無いだろう。

発売時に山木社長が「カラーも撮れるモノクロカメラ」*9と発言し、公式作例が未だ「白バックにグレーの鳥」の数枚のみに留まっている*10ことは、恐らく先に挙げた全ての問題点を踏まえた上での、シグマからの結論であろうことは想像に難くない。

レンズはMerrillと同一の超明瞭な写りで、冷徹なまでにリアル一辺倒であるため官能性に乏しく、ボディ側の描写傾向とあまり噛み合っていないように感じる。敢えて言うなら芸術系と理系を無理矢理合体させたようなカオス具合とでも言うべきか。

Quattroセンサーの絵作りであれば解像感は二の次三の次、モワッとした空気感を映し出すような、色気だだ漏れのエロい描写のレンズと組み合わせた方が長所が伸びると思われるため、Quattro世代はdpはスルーしsdに特攻、マウントアダプター(あるか知らんが)をかまして他社のエロレンズを装着し、ゲージツ度満開の写真を撮るのが正解と思われる。

このように総じて実験機のような有様ではあるが、大きく変貌を遂げた独創的なボディデザインや充実のオプション品が相まって、唯一無二の高い趣味性を醸し出している点は非常に面白い。その外観や写りが気に入った人は買って損はないだろう。

 

 

 ☆おしまい☆

* Last Update 2020.01.30 * 

 

 

  

▼注釈はこちら▼

*1:2007年発売。GR風のボディに3倍ズームレンズ搭載したコンパクトカメラ。世界初の外付け可変EVFやステップズーム機能など、現在の高級コンデジの雛形を作ったともいえる意欲的な製品だった。いのだんごはEVFキットを予約購入し、今も大事に保管している。

*2:当時、東京都民だった為。特に学生の頃は御茶ノ水、神保町、秋葉原と並んでよくウロウロしていた。懐かしい。

*3:シグマさん、新品を買わなくてゴメン!DP2xより初代DP2の写りが良かったんだ!

*4:写真のDP2は最初に買ったものではなく、保存用の綺麗な個体です。

*5:中途半端に画質が良いと下手に色々と「参考」にしてしまうので、「ショボい液晶」で逆に良かったと思う。

*6:カメラの大敵787B。しかしDP2ミュージアム内の照明条件でもこの色再現。画像検索で比べるとその奮闘ぶりが分かる筈。

*7:単純にQuattroの在庫が捌けるタイミングを待っているだけかもしれないが・・。

*8:なんと!ここで書いた通り、次世代機のセンサーは旧来の無補完3層になるようです。いや〜、言ってみるもんだね!

*9:厳密にはトップ層の情報だけで成生した画像でない限り画質低下が起こる為、モノクロカメラとしての完成度も低い。

*10:sd Quattro Hで新たに風景の作例が追加されているが、色を見せる意図で撮ったと思われる作品は存在していない。