【長編】SIGMA DP シリーズ10周年に思うこと

 

プロローグ

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SIGMA DP。はじめてこのカメラの存在を知ったのは2008年、初代DP1発売前のことだった。当時私はGX100*1を使っており、仕事柄それなりにカメラについて勉強していた事もあって、何だか凄いのが出るぞ、などと発売を心待ちにしていた。

そう、すべての伝説はここから始まった。

史上初めてコンパクトカメラのボディにAPS-Cサイズ相当の大型センサーを搭載、まるで軽自動車にF1のエンジンを載せるかのような圧倒的コンセプトで登場した初代DP1。しかもセンサーは垂直3層のFoveon、まさにオンリーワンの称号を欲しいままにする超弩級変態カメラだった。勿論価格もコンパクトの枠に収まらず、堂々の10万円超えを果たすことになる。

そして発売から暫く経った頃。DPの撮影画像を探すため、中国の掲示板へ潜っていた時に事件は起こった。

「なんだこれは・・まるで目の前に現実の世界があるみたいだ!!」

そこにあった一枚の写真。暮れゆく新宿東口前の、何気ない光景を写し出した一枚に私は釘付けになった

PC画面に等倍で表示された画像の圧倒的な臨場感。デジタルカメラ特有のモヤモヤが一切ない、どこまでも鮮明な撮像。

ビルも、人も、街の、あらゆるもの全てが、私の知っている新宿*2そのものだった。

まるで、空気の生暖かい匂いまでが、写真から立ち上ってくるかのような臨場感。

もはやこれは写真、いやカメラではない。「空間切り取り機」なのだ、と衝撃は留まることを知らなかった。

これが、私が写真を見て、生まれて初めて感動した瞬間である。

 凄い・・凄すぎる。これは絶対に欲しい。・・でも高い。

そもそもブラック低賃金の私などに、買えるはずの余裕など全くなかったのだ。

こうして夢は夢のまま、月日は流れた。

 

 

 

 

「一生の思い出」だからこそ、DPを。

2011年末。ひょんなことで、おかだんごと結婚*3することになる。 

翌年には新婚旅行の話題が持ち上がり、旅のプランを二人であれこれ考え始めるのだが、ここでふとカメラのことを思い出す。

「一生に一度のイベントだから、最高の写真で残したい。」

そうだ、今だ。今しかない。遂にあのDPが必要な時が来たんだ。 

すぐさまネットで情報を調べると、あのDP1の発売から4年近くの間に数々のモデルが発表され、その最終形であるDP2xが出るまでに進化を重ねている事、価格も当時より大幅に値下がりし、新品でも3万円台という驚愕の事実が次々と明らかになった。

それとは別に一眼レフのSDシリーズもチェックはしてみたが、レンズ交換式のために画質が下がること、それを含めたコストパフォーマンスが悪いこと、そして何より私がコンパクト至上主義者であったため、購入の候補からは外れることになった。

そして地道な比較検討の末、ついにオークションで個人蔵・新品同様の初代DP2を約2万5000円で購入する。*4

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届いたものは本当に綺麗で、使った形跡が殆どない素晴らしいコンディションだった。*5

旅行前にいくらか試し撮りをしてみたが、最初は「これがあのDP?」と思うほど変な発色で困惑した覚えがある。

噂に聞いていたAFは若干暗所に弱い以外は普通に動いてくれたし、不名誉極まりない背面液晶も構図さえ確認できればそれで良いので問題無かった。唯一バッテリー保ちだけは心許なかったので、それだけは買い足したけど。

そんな状態でも圧倒的な写りの片鱗はいくらか垣間見れたし、RAWさえきちんと撮れていれば現像は後でなんとでも出来る、ということを先のGX100で学んでいたので、カメラを信じてそのまま旅行へ突貫することにした。

当時DPは「当たると凄いが凡打の山」「大事な場面で使ってはいけない」「思い出が台無しに」ともっぱらの評判だったが、デジカメなんて露出を勝手にやってくれるのでピントとSSさえ確保できれば大外れする訳はなく、あとはシャッターのタイミングと現像の腕次第。夕方以降はすべて自分に縁のない被写体と考えよ、との精神だったため全く心配していなかった。

 

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写真:高千穂峡で出会ったニャン  (533×800pix)

結局、旅を終えてみれば「電池は何個でも欲しい」という以外に問題という問題はなかったし、木々の繊細な枝ぶりから髪の毛の1本1本、肌のキメの細部に至るまで、それはもう必要以上とも言える克明さで記録に残すことができた。

今となってはその選択が大正解であったと胸を張って言えるし、むしろ人生の大事なシーンであればあるほど「DPで撮れ!」と自信を持ってお奨めしたい。DPという名のタイムマシンであの時のあの人に、いつでも会えるようになるのだから。

もちろん「今でも時折思い出して舌なめずりをするご馳走」なんかの写真はブレて綺麗に残っていなかったりするのだが、それは根性に拘って三脚を使わずに撮った私が悪いだけで、カメラが悪いわけではない。そしてそれもまた、良い思い出だ。

・・まぁ、流石に10年近く前のカメラなので、もし今から新婚旅行に行くとしたらメインは別のカメラにするかもだけど。

 

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写真:マツダミュージアムで展示中の787B*6  (800×533pix)

でも、やっぱり一眼は重いしかさばる。旅先であれば、その存在は尚更重くのしかかってくる事だろう。

DP2はただ凄い写真が撮れるというだけでなく、小さく、そして抜群に軽い。

試しに調べてみたら、なんとCanonの1型コンパクト、G7Xより軽かった。どうりでスカスカの箱みたいに感じるわけだ。

旅先での扱い易さは言うまでもなく、普段も自然とカメラを持ち出す機会が増え、幾度も貴重なシャッターチャンスに立ち会うことができた。この「唯一無二の画質」という要素に「軽さ」「コンパクトさ」「取り回し易さ」という要素が掛け合わさる凄さは本当に爆発的で、たぶん私が自覚している以上のメリットを齎してくれているのだと思う。

当時DPほど高画質でコンパクトなカメラは他になかったし、今でもそれは相当なものだ。今後第一線を譲る機会は増えても、次の10年もきっと戦い抜いてくれることだろう。もはや怖いものは「故障」と「バッテリーの劣化」の2つだけかもしれない。

考えれば考えるほど、本当にこのカメラに出会えて良かったと思う。

当時シグマでこのカメラを作り、世に出してくれたくれた沢山の方々。素晴らしい製品をありがとうございました。

 

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で、その後も初代DP2への熱は止まることを知らず、なんだかんだでご覧の通り。

カメラが3台に、外付ファインダーと純正マクロレンズが2つ。フードは3、4個あったかな。

そのうち1台をおかだんごに与えて一通り現像方法を教えると、それなりに立派なDPバカへと育っていった。

おかだんごのDP2はクマのシールが貼ってあるので一目でわかる。なんでもシ「グマ」だからクマなんだそうだ。

以前、このDP2を外装交換に出したことがあるのだが、新しいボディになって帰ってきたときに寸分違わず元のシールが貼り直されていて、その時はシグマの修理担当者さんの丁寧な仕事ぶりに大感激した覚えがある。きっといい社風なんだろうなぁ。

そして一番のレアアイテムであるDP2店舗展示用スタンド。結構前にオークションで偶然見かけて500円で落札したのだが、このスタンドにDP2を乗せて飾っているファンは世界広しと言えど、私くらいではないだろうか。えへへ。

逆に惜しいのがカタログ。私がDPを買った頃は既に2x世代だったので、これしか持っていない。

無印2の物があれば完璧なんだけど、流石にオクで買うのは悔しいし、どなたか余ってたら頂けませんでしょうか (´・ω・`)

 

 

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付録 其の壱:10周年記念!次世代DPを考えようの巻

今年でDPシリーズ10周年を迎えるにあたりQuattroの次世代機に期待が高まるが、一体どうなるのだろうか。

残念ながら現在のQuattroシリーズに過去の機種ほどの力強さはなく、既にdp2Qの発売から4年近い歳月が流れ、SIGMA自身もFoveonセンサーの方向性に悩むところが多々あるのではないかと考えてしまうような状況だ。

そこで勝手に「新しいDPの仕様を勝手に考えよう」のコーナーである。ではいってみよう。

 

仮称:SIGMA DP F

・Foveon X3F 16MP×3層(計48MP)フルサイズセンサー

・ISO50-400(上限)

・AFE非搭載

・極力明るいレンズ(DP2=40〜50mmF1.9) 

 

出るのか?出るのか!?と噂されるフルサイズSDに先行し、センサーの世代交代を兼ねてフルサイズFoveonをDPで採用しよう、という案である。むしろ、これ位やんなきゃ今時「DPってスゲー!!」とはならない。ソニーのRX-1と同じ土俵に立ち、低感度で圧倒する。やっぱりDPは感動のある凄いカメラじゃなきゃダメなんだ。

悩みどころはセンサーの画素数だが、APS-C16MP×3層のMerrillは画素密度が高くシャドウに弱い上にノイズも乗りやすかったので、画素面積を増やす方針を最優先にしたいと思う。おそらく、最高でも24MP×3層あたりが微細化の限度なのではないだろうか。しかし手ブレ耐性やデータの軽さ、レンズ設計の余裕を考え、16MP×3層あたりが良いのでは?という見立てである。なんなら12MPでも良い。構造は正統派のX3、Merrillと同じ無補完3層仕様とする。Quattro?そんなものは知らん。

あとは基準感度を堂々のISO50に設定、最大でも400あれば十分だろう。ISO200に戸惑い、断腸の思いで400に設定する。それがFoveonである。結局どう頑張っても高感度はベイヤーに敵わないので、頭おかしいくらい長所を突き詰めた方がFoveonカメラの存続には良いと思うんだ。DPやSDを続ける上で一番大事なのは図太さだと思う。

その流れでAFEも省いて、ほんとうに低感度のみで勝負するカメラにする。甘ったれユーザーの「高感度ガー!!」なんていう泣き言は一切聞かなくて良いし、そういう人は他社のカメラをどうぞ。レンズはウチにいいのがあるから買ってね、でいいと思う。それができる会社は世界にシグマしか存在しないのだから、それでいい。

その代わりレンズを極力明るくして、暗所でもSSを稼げるようにする。F1台を名乗る意味は大きいので、ギリギリF1.9くらいでどうにか出来ないだろうか。50mmより40mm寄りの方が小さくできるだろうから、この際細かい画角は問わない。

フルサイズだとテレセン性が問題になる、という話を聞くが、専用レンズを用意できるDPならSDより問題に対処しやすく、より大型センサーに向いている。そもそも初代もMerrillも周辺の緑被りだなんだと散々言われつつ未だ素晴らしいカメラであり続けている訳で、写真の本質を考えればそんな些細な事はどうだって良いのだ。だから小型化最優先で各種収差は盛大にやって頂いて構わない。これ、スペックに厳しいファン以上にレンズ屋のシグマさんが一番嫌がりそうな話。

で、レンズでの対応に限界があるならソフト側で頑張る。言うは易しだが、それが進歩というものだ。フルサイズDPは出せるけどSDは無理、ということなら正直にそう言えばいいし、SDに配慮してDPの可能性を閉じるというのは頂けない。この10年間、レンズ一体型のメリットを説いてきたシグマなら出来るはずだ。

Quattroで巨大化したボディは先祖返りじゃないが、最大限コンパクトに纏める。要は初代DP2/2sのフルサイズ版という訳だ。Quattroの型じゃないとヤダ、という層にはオプションでQuattro風の出で立ちになるバッテリーグリップ付けるとか、そういうのやったら面白いかもしれない。

あ、この際バッファメモリも限界までケチればいい。どうせRAW現像する事になるんだからJPEG同時記録なんてのも要らん。その代わり10万で売ったらいい。フルサイズFoveonの単焦点付きが10万。安いでしょ?安すぎか?

 

正直、初代好きの私にはこれくらいしか欲しいと思えるFoveonがない。余計なものは一切無しで、低感度一発勝負。そんな詰め込み感の一切ない初代DPの拡大リバイバル版こそ私が一番欲しいカメラなんだ。本当は初代DPを現代の技術でよりスリムにリファインしたモデルで十分なんだが、それは今回の主旨と若干違うと思ったのでフルサイズにしてみた。画質(高画素高解像)最優先のユーザーとは別の流れで、こういう感じのDP欲しい人ってそれなりに居ると思うんだけど。

でも、ここまでやっても相変わらず色再現力(一般的に言われる色の復元力、色分離の悪さ)問題は根深く残るだろうし、その改善がない以上購入候補に入れるのは厳しいので難しい挑戦になるとは思うが、シグマさんにはQuattro方式という逃げではなく、真っ向勝負で胸のすくようなブレイクスルーを期待したい。だってまたワクワクするFoveonを、DPを買いたいんだッ!!

 

 

 

 

付録 其の弐:SIGMA DP MANIACS

最後にDPシリーズ10周年を記念し、今まで私が知り得たシリーズ各機種に関する情報をまとめたコーナーをお送りする。

実際に所有しているのは初代DP2×3台のみの為、基本的には実機を試用したり、各機種のRAWデータ現像を経験した上で気づいた点を正確性に配慮しつつ独断と偏見により記載したものとなる。ネット上で見かける製品レビューやユーザーボイスと重なる部分も多々あると思うが、ひょっとすると今回の記事で初めて指摘される情報も含まれているかもしれない。

また愛ゆえ、先のコーナー同様厳しい書き方になっている部分もあると思うので、その点については予めご容赦頂きたい。

以上の点を踏まえ、気になる方は是非最後までお付き合い頂ければ幸いだ。 

 

 

 

DP1

APS-Cサイズの垂直3層Foveonセンサーをコンパクトカメラに世界で初めて搭載し、メーカーであるシグマ自身が「中判画質」を謳うほど高画質な写真を撮る事ができる。実際は「条件が揃えば」という注釈付きではあるものの、発売当時の全てのカメラが一気に過去のものになるほどの圧倒的な画質を誇った。

レンズはマゼンタに輝く美しいコーティングを持つが、撮影条件により通称「サッポロポテト」と呼ばれる、昔のソニーロゴのような赤いレンズゴーストが顕著に現れる。

画像エンジンには新開発のTrueを搭載し、おおむねSD14と同様の発色傾向を示すが、若干黄色が大人しくなり赤がマゼンタ寄りとなる。恐らく黄色の発色が強めに出ることによって赤が朱に傾く現象を補正したものと思われるが、結果は過補正である。その他の点についてはよりニュートラルに進化しており、画像処理の最適化が進んでいることを示した。

 

 

 

DP1s

レンズコーティングがDP1の美しいマゼンタから黄緑系に変更され、問題となっていたサッポロポテト現象がほぼ改善される。しかし、その代償として写真は若干の緑被り傾向となる。

Trueエンジンのチューニングは更に進み、赤がマゼンタ寄りにシフトする現象が改善され、発色は非常にニュートラル。WBの安定性も向上し、最後の初代True機に相応しく画質面での完成度は高い。

AF速度等はDP1と同等のため、利便性の向上よりネガを潰し完成度を高めることを主眼に開発・投入されたモデルと言える。

 

 

DP2

広角単焦点DP1に対し、標準単焦点レンズを搭載したDP2が新しくラインナップに加わる。

画像エンジンには新世代のTrue2を搭載し色再現が一段と向上、生々しく透明感のある、鮮やかな発色に磨きがかかる。

レンズは青緑/緑メインのコーティングの影響で写真は緑かぶり気味なものの、Foveon機としては最も癖の少ない発色のため、RAWデータ製造機としては後継機の2sと並んで未だシリーズ中最高とも言える完成度の高いカメラである。

DP1の頃から遅い、遅いと話題に事欠かなかったAFもアップデートで改善され、最終的にはDP2sと同速にまで向上している。

背面ボタンはDP1系とレイアウトが異なり、新しくQSボタンを追加するなど操作系の改良にも取り組んだ。

細かいところでは初期ロットのみバッテリーを固定する爪が白色で、以降は黒色の爪となる。

 

DP2s

DP2のマイナーチェンジモデルとなるDP2sでは、初代DP2で緑被り気味であったレンズの改良としてコーティングが前玉、中玉共に変更され、紫/緑メインへとシフトした。結果は過補正であり、写真は若干赤かぶり気味となる。

レンズ周辺部の緑被りは健在で、相対的にDP2より目立つ。これらの理由から、光学系は必ずしも改良されたとは言い難い。

正確にはコーティングは初代DP2の時点で既に改良されており、最終ロットと思われる個体でのみそれを確認することができる(当該個体を所有。2s仕様の生産を僅かに前倒しか)が、これは非常に少数である為、基本的にはDP2s固有の仕様と言える。
ボディはDP2に比べAFが速くなり、イメージセンサーの待機電力カット機能が新たに追加され、湯水のごとく減ってゆくバッテリー問題に一石を投じた。

しかし前述の通りDP2ファームアップデートでAF速度がDP2sと同等になった為、DP2s固有といえるアドバンテージは「省電力」の1点のみに集約される。続く改良型であるDP1/2xシリーズではAFE(後述)の影響により大幅に発色傾向が変化することから、DP2sは初代シリーズ中最も完成度の高い「Foveonらしいカメラ」となった。

また当モデルで初めて、背面ボタンの印字に赤色が取り入れられた。

 

 

DP1x / DP2x

更なる改良でコーティングが黄緑/紫メインに変更され、初代シリーズ中最も色被りのない自然な光を手に入れた。
初代DPシリーズをレンズ交換修理に出した場合、DP1x/2x以前の機種であってもこの仕様のレンズが付いて帰ってきた(現在は修理可能製品から外れている)ため、以前はこれを利用して「最高の旧DP1DP2」を手にいれる事が出来た。現在でも、中古品のレンズ修理(交換)歴を判別する際に非常に便利なポイントである。
ボディにはSD15に採用されたAFE(アナログフロントエンド)が搭載され、高感度域の改善を狙ったが、AFE由来の黄色かぶりと特有のノイズが発生し、感度にして僅か半段分にも満たないほどの改善に留まった(もしくは改善しているように見えた)。

しかもDP2/2sで優秀だった色再現の正確さまで悪化し、伝家の宝刀であったiso100の画質にまで影響が及ぶ。本来彩度の高いものが燻んだような独特のトーンで写り、生々しさや透明感に定評のあったDP2/2sの描写性はここで途絶えることとなる。

しかし、見方を変えれば一定のトーンで画面全体が統一されることから、画のまとまり感はシリーズ中随一である。AFも更に速くなり、特大ホームランよりもヒットを重ね打ちできるカメラへと変貌を遂げた。

DP1系では初となるDP2系の背面ボタンレイアウトを採用しており、トータルでの扱いやすさもシリーズ中屈指の実力を持つ。特に拘りのないFoveon処女の方には全DPシリーズ中、今なお一番お勧めできる機種であり続けている。

 

 

初代DP1/2シリーズ用外付ファインダー

カメラではないが、こちらも初代DPシリーズ各世代のレンズ生産時期に応じてコーティングが異なる。

色はおよそレンズ前玉と同様で、DP1DP2生産分までが青緑、DP2s生産分以降が淡い赤である。1/2x世代の製造分については未確認(比較的高額で数が出難い商品のため、2s世代分を最後に生産されていない可能性もあり)。

 

 

 

DP1/2/3 Merrill

Merrill世代ではセンサーサイズが僅かに大きくなり、長辺が23.5mmとAPS-Cの規格を満たすものとなった。

素数も初代シリーズが採用するFoveonX3の468万画素×3層から一挙に増え、1536万画素×3層の構成となる。

ボディとレンズも一新し、初代DPシリーズで画質への不満が噴出した背面液晶は一般的なものに変更され、RAWとJPEGの同時記録にも対応するなど、デジタルカメラとしての自覚の芽生えを感じさせた。また新たに中望遠モデルとなるDP3が追加され、兄弟揃って圧倒的な解像番長としてカメラ界にその名を轟かすこととなる。

しかし、画素当たりの受光面積が狭い為かシャドウ部が特に落ち込みやすく、写真全体でコントラスト過剰に陥りがちである。

さらにR層への透過率低下により赤の再現力が一層低下し、非常に色飽和が起こりやすい。DPx世代から搭載されるAFEの影響で全体的な色再現も低調のため「当たれば驚異的な画質だが事実上当たらない」レベルにまで変態度がこじれる事となる。

ただし、これはあくまで「自然な色再現」に拘って評価した場合であり、写真そのものが不自然な描写であると糾弾するほど悪いわけではない。癖があることに変わりはないが、場合によってはそのコントラスト感や独特の発色からくる重厚な描写により、撮り手の意図と合致することで存在感のある作品を生み出すことが出来るだろう。

カラー以外では3層センサーの特色を生かして当世代で初めて「ホンモノ」のモノクロモードが追加され、ライカ・モノクロームと双璧といえる、高いレベルのモノクロ撮影が可能となった。これにより仮にカラーモードの画質に不満があった場合でも、引き続きモノクロ専用機としてユーザーの元で活躍し得る、非常に稀有なカメラである。

ちなみにMerrill世代より内蔵フラッシュが廃止されたため、緊急時含め必要な場合は外付けのものを携行する必要がある。

 

 

 

dp0/1/2/3 Quattro

ここで新しく、超広角レンズ搭載のdp0が追加された。ブランドデザインも一新され、DPからdpへと移行している。

Quattro世代ではセンサーの構造が大きく変わり、若干の高感度性能の向上と引き換えに画素の補完による解像力の低下、桁違いに悪化した色分離、不正確かつ過剰な復元による塗り絵にも似た強い発色と粉っぽい質感の絵を手に入れるに至った。

発売当初は黄色から黄緑にかけての発色が過大で、写真全体を支配しバランスを完全に崩壊させるほどであったが、現在はアップデートにより7割方改善している。

しかし基本的には中間調からハイライト側にかけてのトーンが浮き気味で、コントラストが付きづらくシャドウ部との階調が乖離しやすい描写傾向である。同時に色も明度が上ずり気味となるため、全体としてMerrill世代より不自然な絵となりやすいものの、色再現を除いて若干フィルムに近い雰囲気を示すようになった点は面白い。

特に隣接するピクセルの色相が異なり、かつセンサーへの入光明度が同等となる条件で解像力(色の分離・再現力)が著しく損なわれる現象、通称「ビアガーデン現象」が発覚して以降は多大な悪評を被ることとなるが、現在では必死のアップデートによりほぼ問題ないレベルにまで改善されている。

もっとも、この改善により従来問題のなかった部分にその皺寄せが現れるようになった為、厳密にはトレードオフである。

またセンサーの構造上常に起こり得る問題であることから、根本的な解決策は以後の世代に譲ることとなる。基本的な画質については高感度の改善を含め「ベイヤーとの間の子に近い印象だが色の分離・再現が劣悪」との認識で間違い無いだろう。

発売時に山木社長が「カラーも撮れるモノクロカメラ」*7と発言し、公式作例が未だ「白バックにグレーの鳥」の数枚のみに留まっている*8ことは、恐らく以上全ての点を踏まえた上でのシグマからの結論であろうことは想像に難くない。

このように総じてβ機のような有様ではあるが、柔らかめの描写とベッタリとした強い発色を生かしてエログロ感、アングラ感漂うアンダー目のスナップにこれ以上ないほどの適性を発揮し、大きく変貌を遂げたボディデザインや充実のオプション品が相まって抜群の趣味性を醸し出していることも事実である。

レンズはMerrillと同一の超明瞭な写りで、冷徹なまでにリアル一辺倒であるため官能性に乏しく、ボディ側の描写傾向とあまり噛み合っていない。芸術系と理系を無理矢理合体させたようなカオス具合であり、これも残念な点である。

Quattroセンサーの絵作りであれば解像感は二の次三の次、モワッとした空気感を映し出すような、色気だだ漏れのエロい描写のレンズと組み合わせた方が長所が伸びると思われるため、Quattro世代はdpはスルーしsdに特攻、マウントアダプター(あるか知らんが)をかまして他社のエロレンズを装着し、ゲージツ度満開の写真を撮るのが正解と思われる。

「収差ゼロ」を謳って登場したdp0など、非常に魅力的な提案があったぶん残念な思いが際立つ、苦い思いの絶えないシリーズである。

 

 

 ☆おしまい☆

 

 

▼注釈はこちら▼

 

*1:2007年発売。GR風のボディに3倍ズームレンズ搭載したコンパクトカメラ。世界初の外付け可変EVFやステップズーム機能など、現在の高級コンデジの雛形を作ったともいえる意欲的な製品だった。いのだんごはEVFキットを予約購入し、今も大事に保管している。

*2:当時、東京都民だった為。特に学生の頃は御茶ノ水、神保町、秋葉原と並んでよくウロウロしていた。懐かC。

*3:ソーシャルゲーム上で各々のアバターが偶然出会い、色々と話すうち仲良くなり、ついに現実で一度も会うことのないままマッハで結婚を決める。その間僅か2週間弱。今思えば凄い事だが、仲の良さだけは未だ天井知らずである。あーよかった。本当に良かった。

*4:シグマさん、新品を買えなくてゴメン!DP2xより初代DP2の写りが良かったんだ!

*5:写真のDP2は最初に買ったものではなく、保存用の綺麗な個体。今回代役を務めてもらいました。

*6:デジカメの大敵787B。しかしDP2ミュージアム内の照明条件でもこの色再現だ。画像検索で比べるとその奮闘ぶりが分かる。

*7:厳密にはトップ層の情報だけで成生した画像でない限り画質低下が起こる為、モノクロカメラとしての完成度も低い。

*8:sd Quattro Hで新たに風景の作例が追加されているが、色を見せる意図で撮ったと思われる作品は存在していない。