史上最高のエキゾースト・ノートとは何か

 

 

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完全に出オチだが、史上最高のエキゾースト・ノート*1を奏でるエンジンは、かの日本車初、そして現在でも唯一のル・マン24時間耐久レース*2総合優勝車、マツダ787B(写真左)*3が搭載するレーシング4ローター・ロータリー、R26Bだろう。

 

一般的には恐らくフェラーリのV12あたりが有力候補になるのだろうが、音を聞いても特に脳汁は出ないし、私は舶来品至上主義者でもなければ跳ね馬に思い入れもない*4ので、ザックリすぎるほどザックリ言えば他はドングリの背比べ*5である。

R26Bはエンジン1回転あたり計12回*6の点火(排気)が行われるのだが、これに対してレシプロ12気筒は4ストロークのため、エンジン1回転あたり6回しか点火できない。R26Bのレブリミット9000回転*7に対してフェラーリの3リッターV12は17000回転まで回るが、悲しいかな点火回数では4ローター8500回転相当となるため、惜しくもR26Bに負けるのである。

当然、音程は時間あたりの媒質(空気)の振動回数が多いほど高くなるので、理屈ではフェラーリよりマツダの方が甲高い音を出せるわけだが、「最高のエキゾースト・ノート」となれば幾ら理屈を並べたところで意味がない。肝心の音色が不快なものであっては台無しなのだ。やはり低回転域からの盛り上がりを含め、魂の琴線に触れてくるような要素*8が不可欠なのだが、このR26Bは何よりその「音色」が素晴らしい*9のである。 

そしてこれは日本の、広島産の「おむすび」*10なのだ。

4個のおむすびが1分間に10万回以上転がることでしか聞くことのできない、世界で唯一無二の音。

かつてマツダの若き技術者たちが社運を掛け、数多の困難を情熱と執念で乗り越えた先に世界で初めて実用化に成功*11したロータリーエンジン。それをレーシングカーに載せ極限まで磨き上げたのは、優勝の栄冠を手にするまでの18年にも及ぶ挑戦と苦闘の日々であった*12。日本、いや世界の技術遺産に相応しい天文学的に貴重な音色なのである。これはもう何かの間違いで天使のラッパを聞いてしまった位にレア*13なことである。私なんて、この音を聞くだけで目頭が熱くなるほどだ。*14

きっと街ゆく人に「日本の名車は何か」と聞けば、トヨタ2000GTを筆頭にスバル360など、歴史に輝く往年の車たちが名前を連ねる事だろう。その中で「787B」と答える人が少しでも居てくれたら嬉しい*15し、このとてつもなく凄い車の存在をもっと多くの人に知ってもらえたら良いな、と思う本日のいのだんごであった。

 

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ちなみに上の写真は毎日ちびちびプレイしている「グランツーリスモ6」のフォト機能で撮ったもので、舞台は787Bに因んだサルト・サーキット。今回初めて写真機能を使ったのだが、画角だけでなくF値シャッタースピード流し撮りのタイプまで細かく設定できて本当に驚いた。車の挙動だけでなく、こんな所までシミュレート出来る*16とは。。

どうせならザウバーメルセデスと競り合う画が撮りたい!ということで、787Bに乗り込んで一周走る間に抜いておき、フォードシケインから二周目のホームストレートでペースを落として二台が接近したところをパシャリ。本当は3番手にジャガーを入れたかったが、ドライバーがマイペースなためか、どうにものんびり走っていたので今回は諦めた。

 

そういえば、GT5の頃には「サルト・サーキット24時間耐久」という、現実の時間で24時間走り続けるというモードがあった。

私も燃えに燃えて実際に787Bで24時間走ったことがあるのだが、ゲームなんだからいくらなんでも長すぎる!という苦情が多かった為か、GT6では「ル・マン24min」に改められていて、何をどう解釈すれば耐久レース*17になるのか意味がわからず、しばらく目が点になるほどガッカリした。私のように24時間フルで走り切るのを楽しみにしている人は殆ど居ないと思うが、せめて「240分耐久」あたりで決着をつけることは出来なかったのだろうか。シミュレートの出来が良いだけに残念でならない。

 

 

 

▼熱の入りすぎた注釈はこちら▼

*1:自動車のエンジン音を含む排気音のこと。

*2:フランスの片田舎で年に一度のみ開催される。F1のモナコGPインディ500と並んで世界三大レースのひとつに数えられる。

*3:プラモデルの記事で作りかけのまま放置されている車でもある。完成するとこんな感じになるのだ。

*4:前期型の365 GTB4は最高にお洒落だし、F40なんか最高に美しくカッコいいのだが、残念ながら思い入れはない。

*5:意見には個人差があります。

*6:エンジン1回転中に1ローターあたり3回、ローターは全部で4個なので3×4=12回。

*7:エンジンは10000回転で24時間走っても壊れないが、ギアボックスが耐えられないという理由で9000回転に設定されている。

*8:無限とも言える周波数のパターンのどこに最適解があるのか。それは各人の好みに委ねられる。

*9:観客席ではドップラー効果により「3割増しの甲高いサウンド」に酔いしれることができる。まさに圧倒的。

*10:ロータリーエンジンはローターと呼ばれる三角形の部品「通称:おむすび」がクルクル回転する力によってエンジンを回している。

*11:正確には発明者であるNSUのヴァンケルスパイダーが先だが、実用化の域に達していないのでノーカウントで良いだろう。

*12:ロータリーエンジン実用化への挑戦〜ル・マン優勝までの軌跡はNHKプロジェクトXで全2回に渡り特集・DVD化されている。

*13:天使ではないが、YouTubeル・マン優勝20周年でサルト・サーキットを全開走行するオンボード映像があるので是非観てみよう。

*14:当時いのだんごはちびっ子全盛期で、1991年の激闘をリアルタイムで見ていなかったため余計に泣けるとかなんとか。

*15:身内で潰し合うのは避けたいが、同じロータリーならコスモスポーツRX-7に票が入りそうな予感。結局マイナー止まりなのか。

*16:何枚も撮ったのでシャッタースピードは間違えてるかも。1/250か1/500のどちらかだと思う。

*17:結局ただの24分間のレースで、耐久レースなどではなかった。ル・マン24という字面が持つ魔力の強さを思い知った瞬間である。